資産運用を考えている人、あるいはすでに投資を始めている人の中には、ブラックロックや、ブラックロックが運用するEFT(上場投資信託)の評判が気になる人も多いのではないでしょうか。
ブラックロックは世界最大の資産運用会社です。資産運用を行う人であれば、気になる人も多いかと思いますが、2020年の運用資産残高は日本円で約900兆円ほどで、桁外れの資産額を運用する会社として知られています。
ただし、日本ではまだまだ情報が少ないこともあり、どんな会社なのか、どのような実績、評判なのかが気になる方も多いと思います。
この記事では、ブラックロックについて、どんな商品があり、どんな会社なのか、そしてどのような実績があるのかをみていきたいと思います。世界的に有名なブラックロックを知ることで、今後の投資の参考にしてみてください。
ブラックロックの運用会社について
運用会社について
世界最大の資産運用会社として知られるブラックロックは、1988年アメリカで設立されました。世界最大と聞くと、もっと古くからある印象を受ける人も多いかもしれませんが、歴史はそれほど古いわけではないようです。
ただし、世界最大というだけであり、Financial Summaryによる2020年末の運用資産残高(AUM)をみてみると、8.6兆ドルとなっています。日本円で約900兆円と、国内で投資を行う人間からすると、桁外れの金額になっています。運用資産、株式、債券、キャッシュ、オルタナティブ、不動産など、広範囲に渡り様々な資産を扱っているようです。
ブラックロックは、世界最大の資産運用会社の1つで、業界ではヴァンガード(Vanguard)、ステート・ストリート(State Streeet)を加えた3社がビッグスリーと呼ばれています。ビックスリー3社の合計運用資産額は15兆ドルを超えると言われており、とてつもなく大きな影響力を持つ資産運用会社であることがわかります。
<オフィスの所在地>
オフィスは、本社がニューヨーク、東京に日本支社があります。東京支社となるブラックロック・ジャパン株式会社は「東京都千代田区丸の内一丁目8番3号 丸の内トラストタワー本館」にあります。東京駅すぐの高層ビルで、ブラックロックジャパンには300人以上の役職員が在籍しているようです。世界規模だと世界38ヵ国89の地域で16,000人以上が在籍するなど、まさに世界規模の会社といった感じです。
<会社の歴史>
ブラックロックの創業は1988年、会長兼CEOのラリー・フィンクを筆頭に、その他7人のパートナーによって設立された会社です。1999年ニューヨーク証券取引所で1株14ドルで公開され、この年にはすでに1650億ドルの資産を管理するなど大きく成長を遂げています。
創業メンバーは、ラリー・フィンク、ロバート・S・カピト、スーザン・ワグナー、バーバラ・ノヴィック、ベン・ゴラブ、ヒュー・フレイター、ラルフ・シュロスタイン、キース・アンダーソンの8名です。
目覚ましい成長スピードで会社が大きくなっている背景には、買収戦略があります。ブラックロックは繰り返し買収を行いながら、会社の規模を大きくしています。2009年バークレイズ・グローバル・インベスターズと経営統合を行うなど、短期間で世界のトップに上り詰めています。そこからiシェアーズを獲得し、今の「世界最大の資産運用会社」として、世界中に名前が知れる資産運用会社となりました。
iシェアーズ(iShares)を運用
ブラックロックといえば、世界トップブランドの「iシェアーズ」を運用していることで知られています。iシェアーズはEFT(上場投資信託)ブランドの1つで、EFT市場のトップブランドの1つです。EFT市場は約214兆円と言われていますが、iシェアーズはそのうちの約36%を占めると言われています。
EFTに詳しくない人でも、iシェアーズは取扱金融機関が多いことから、目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
ブラックロックの特徴
ファンドマネージャーの実績
投資信託はどのような会社が運用しているのか、その会社のファンドマネージャーや代表がどんな人なのかをチェックしておくことが大切です。
ブラックロックの代表は、会長兼最高経営責任者を務めるローレンス・フィンク(Laurence D. Fink)氏となっています。ローレンスの愛称がラリーと呼ばれることが多いことから、表記はラリー・フィンク(Larry Fink)が使われることが多いようです。
代表を務めるローレンス・フィンクは1952年生まれで、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で学位を取得しています。その後UCLAアンダーソン経営大学院にて不動産のMBAも取得しているようです。そこから卒業後、ニューヨークの投資銀行ファースト・ボストンに勤務。マネージング・ディレクター(MD)へと昇進しています。ちなみにファースト・ボストンは、1990年世界的に有名な投資銀行クレディ・スイスに買収された会社です。
フィンク氏は資産家としても知られています。個人で保有する資産総額は10億ドルを超えると言われています。フォーブズで取り上げられたことがあるなど、大きな影響力を持つ人物としても知られています。
1988年にはブラックストーングループの傘下でブラックロックを共同設立。その後、1994年にはグループから独立する形となっています。その後の活躍は言うまでもありません。
利回り、配当について
様々なEFTを運用するブラックロックですが、2021年1月時点で186種類のEFTを運用しています。全ての実績を見ていくことは大変なので、ここではメジャーな知名度の高いものをいくつかご紹介しておきたいと思います。
投資対象国 | ファンド名 | 設定日 | 1年 | 設定来 |
アメリカ | 【IVV】iシェアーズ・コア | 2000/5/15 | 18.37% | 282.11% |
グローバル | 【TOK】iシェアーズ MSCI | 2007/12/10 | 16.02% | 128.05% |
日本 | 【1329】iシェアーズ・コア | 2001/9/4 | 18.09% | 240.97% |
上記は、2020年12月31日時点の数値です。上記を見るとわかるように、直近1年の数値は、どれも10%後半のリターンとなっています。設定来も大きく成長していますし、優秀な商品だと言うことがわかります。設定日を見てみると、15~20年近い運用実績があることことから、長期的な視点で見ても信頼性があることがわかります。
運用手法について
一般的な投資信託と違い、ブラックロックは幅広い資産を運用しています。株式、債券、キャッシュ、オルタナティブ、不動産など非常に多岐に渡って様々な資産を扱っています。
ブラックロックでは、資産ごとに専門の運用チームを持っています。世界各国に2000名以上の人材を抱え、それぞれに運用を行なっています。代表的な運用チームは以下の通りです。
- アクティブ株式運用プラットフォーム
- ファンダメンタル株式運用部門
- 科学的アクティブ株式運用部門
- 債券運用プラットフォーム
- ファンダメンタル債券運用部門
- 定量債券運用部門
- ETF・インデックス投資プラットフォーム
- マルチアセット運用部門
- オルタナティブ運用部門
各チームごとに世界のプロフェッショナルを集めて運用している金融商品だと言うことも、世界最大の資産運用会社ならではの贅沢な環境ですよね。もちろんしっかり目論見書などを見ておくことも大切です。EFTの商品それぞれ運用方法が違うので、具体的な内容、投資銘柄などしっかり内容を確認して投資するようにしましょう。
顧客数と運用純資産総額
ファンドや運用会社を見ていく際には、顧客数や運用資産額もチェックしておくべきポイントです。顧客がどのぐらいいるのか、どのぐらいの資産額を運用しているかで規模感がわかるからです。もちろん規模が大きいのがいいわけではないのですが、投資の選択肢や、運用の選択肢が広く持てるという意味では、重要なポイントの1つと言えます。
一般的なファンドは100億円未満のところが多く、そこから1兆円までが中規模のファンドです。これ以上になってくると、世界的に名の知れている大規模なファンドになります。
ブラックロックは、2020年末の資産運用残高約900兆円と規模感に関しては文句なしです。世界最大の資産運用会社なので、規模感に関してはいうまでもありませんが、日本のGDPが500兆円と言われているので、改めてすごい規模の運用額であることがわかります。
ブラックロックの投資額や手数料などについて
最低投資額
ブラックロックが運用するETFの最低投資額は、1000円程度のものから様々です。1口単位で購入できるので、少ない資金から始めることもできます。
積立投資も可能ではありますが、つみたてNISAの対象ではありません。気軽に購入することはできますが、その点は注意が必要です。
手数料
iシェアーズの手数料は大きく分けて2種類あります。
- 売買手数料
- 信託報酬
それぞれどのような手数料なのか、どのぐらいかかるのかを詳しく見ていきたいと思います。
売買手数料
約定代金 | 売買手数料 |
2.22米ドル以下 | 0円 |
2.22米ドル超 ~ 4,444.45米ドル未満 | 約定代金の0.495%(税込) |
4,444.45米ドル以上 | 22米ドル(税込) |
売買手数料は、金融機関や購入金額によって変わってくるので必ずチェックが必要です。iシェアーズは売買手数料が無料ものも多くあるようですが、購入するものがどうなっているかはしっかり確認するようにしましょう。特にEFTだと、国内EFTの手数料は無料で、海外EFTは売買手数料がかかるケースもあります。
上記のように、最大で0.495%となっています。約定代金とは、金融取引で「買い」や「売り」などの注文が確定して、取引が成立することを意味する言葉です。売買時の金額によっても手数料が変わるということですね。EFTは頻繁に売買にするものではないので、過度に気にする必要はありませんが、こうした仕組みや金額を知っておくことも大切ですね。
信託報酬(運用管理費用)
ETFの運用には信託報酬(運用管理報酬)がかかります。これは、投資信託やファンドと同じで、運用期間中にかかる手数料です。
ブラックロックのETFの信託報酬は、商品ごとに変わってきますので、それぞれにチェックが必要です。信託報酬は概ね0.03~1.00%未満のものが多くなっています。投資信託、ファンドの信託報酬と比較すると安い印象があるかと思いますが、投資家が保有しやすいようにと、ETFの信託報酬は引き下げが行われてきた経緯があります。
例えば、投資信託のアクティブファンドなどでは、概ね1.7%程度の信託報酬がかかります。1000万円を運用すると17万円かかるわけですが、これが0.7%だと7万円で済むわけです。1%違うと大きな差になります。信託報酬がどのぐらいかで投資家の手取りは大きく変わることになりますので、必ずチェックしておくべき項目と言えます。
購入時には、売買手数料や信託報酬などの手数料がどのぐらいかかるかを必ずチェックするようにしましょう。
税金について
投資を行う際、必ず考えておかないといけないのが「税金」です。知識があるかどうかで残るお金が大きく変わります。例えば、個人で投資するのか、法人で投資するのかでも税率は変わります。どのようにすればお金が多く残せるのかは、税理士に相談する必要も出てきます。
ETF(上場投資信託)の売買によって得た利益は課税対象です。つまり、確定申告を行なって納税しないといけないということになります。ただ、特定口座で源泉徴収ありを選択すると確定申告の必要がなくなるので、その点も理解しておくようにしましょう。
NISA口座を使っている場合は、運用益は非課税となります。年間120万円の上限がある点については注意が必要です。売買益の税率は20.315%です。年間20万円以上の利益が出ている場合は、確定申告の義務が発生します。
ETFの分配金が出ている場合、配当所得となります。総合課税化申告分離課税の対象になります。海外ETFは税制が国内と違うこともあるので、担当の証券会社に確認するなどして、漏れなく対応しておきましょう。
売買益については、課税対象になる場合でも、使う口座で確定申告の有無が変わります。
お勧めは、特定口座(源泉徴収あり)を使うようにすることです。確定申告が原則必要なく、源泉徴収などの手間も最低限で済みます。特定口座の場合は、年度を跨いで繰越控除できたり、複数期間での損益通算できるなど、確定申告を行うことで節税になるケースもでてきます。ただしこうした税金の仕組みは初めての方だと難しいこともあるので、自分で勝手に判断するのは危険です。税理士に相談するなどして、しっかり把握しておくようにしましょう。
破綻リスク
投資信託は基本的に元本保証ではないので、破綻時のリスクも考えておく必要があります。投資信託は投資した資金が分別管理することが法律で定められています。ですので破綻して資金を失うことについては心配する必要はありません。
ブラックロックが破綻したとしても、顧客の資産は保護されることになるので、繰上償還となるか、運用会社を引き継ぐ形になるのが一般的です。もちろん、ブラックロックほどの大手になるとそもそもの破綻リスクは極めて低いと言えます。ただしどれだけ大手でも破綻リスクがゼロということはありません。自分でコントールできる範囲をしっかり把握して、常にリスクヘッジを行うようにしておきましょう。
ブラックロックの上場信託投資への投資の始め方
まず、iシェアーズなどETFを購入する場合には、証券口座が必要になります。iシェアーズの購入ができる証券会社で口座を開く必要があります。大手で言えば、楽天証券やSBI証券で口座を開設しておけば大丈夫です。
口座開設後は、口座に入金を行い、そこから購入することになります。iシェアーズの場合は、購入したい商品の商品名を入力して、どのぐらい買うのかを入力していくことになります。
様々な商品があり、条件面の違いがありますが、基本的なところでは大きく変わることはありません。この辺りは好みにもよりますので、それぞれの商品の特徴をしっかりと見ながら選んでいくと良いでしょう。注意が必要なのは、商品によって市場が開く時間が変わることです。海外上場ETF購入時はその点も加味して検討してみてください。
購入時は、成り行きで購入するか、もしくは指値で購入するかをきめて購入します。どちらを選んでも大きな差はありませんが、ETFは基本長期保有目的で購入する人が多いと思います。この場合は、成り行きで購入しておけば問題ありません。
換金、解約時
ブラックロックのETFは、市場が動いていれば、いつでも解約可能です。市場が開いていればいつでも売買できます。購入時と同じように、証券口座から成り行き、指値で売却量を設定して取引を行えば大丈夫です。指値だと、値によってすぐ売れない可能性もできてきますので注意しましょう。
ETFのメリットは、このように市場が開いていればリアルタイムですぐ売買出来ることです。投資信託などのファンドの場合は、受け渡しに数日かかります。例えば、急にお金が必要になり換金したい場合でも対応できるため、ETFは投資信託やファンドの投資と比べて、流動性の高い投資と言えます。もちろん現金化のタイミングは重要で税金との関わりもあるので、流動性の高さは魅力ですが、売買タイミングをよく考えて売り買いするようにしましょう。
ブラックロックの投資のまとめ
世界最大の資産運用会社として知られるブラックロックは、約900兆円の資産運用残高を誇ります。そのブラックロックが運用するETF、iシェアーズは世界のETF市場の3分の1を占め、人気の高さと豊富な実績が魅力です。
投資は千円程度から始めることができ、楽天証券やSBI証券で買えるなど、始めやすさも魅力です。信託報酬が安い点も、これから投資を始める人にとっては大きなアドバンテージになると言えます。
もちろん多くの資産を運用する場合や大きなリターンを狙う場合には、他のファンドも比較検討するなどして、うまく利用していく必要があります。国内外にはさまざまなファンドがあり、目的や運用額によってもどのファンドに投資すべきかが変わります。優秀なファンドに投資できるよう、知識を身につけていきましょう。